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−インヴァランスって、社員の個性をすごく大事にする社風というか。そういうところがあるなと思っていて。その中でも特に個性的な動きをしていたり、考えを持っていたりとか、そういう方を探していたら、採用チームから、一番に三上さんの名前が挙がりました。

いえいえ(笑)。ただ、不動産会社の社員ということでは、変わっているかもしれないですね。

−「不動産投資会社×小説」という図式がなかなか結びつかないんですけど(笑)。そのあたりを生い立ちから掘り下げてみたいです。

小説家を目指し始めたのが6歳の時からなんですけど、色々あって、小学校4年生ぐらいの時に……えー、重い話に聞こえるとあれなんですけど。

−はい。お願いします。

1回自殺を考えたんですよ。小4の時に。結局、死ななかったんですけど、いったん三上真惟子は死んだことにしようと。じゃ、死んだことにする代わりに、小説家になるためだけに生きようと思って。人生のベースを「私がどうしたいか」じゃなくて、小説のネタになるか、ならないかで全部決めていこう、と。そう決めて、そこから私の意思関係なく、小説のネタになりそうなことをやっていくようになって。人生はネタづくり、みたいな。なので、人生のベースが全部小説みたいな感じで、アルバイトとかもいっぱい経験してみたほうが、その分だけ幅が広がるかなと思って色々やりました。

−6歳の時に小説家になろうと思ったのはなぜですか。6歳って小学1年生?小説、読みますかね?

本は好きで。母が国語の先生だったということもあって、結構、本は身近だったんです。ただ、なんで小説家を目指しはじめたかというと、ちょっと変わった理由なんですけど……。

−お願いします。

宗教に入っているわけじゃないですけど、夢に仏様が出てきて「あなたは作家になりなさい。作家になれば成功する」って言われた日があって。その前日までケーキ屋さんになりたいと思っていたんですけど、仏様にそう言われて、成功するなら作家になろうと、本当にそれだけなんです。ただ夢を見て、じゃあそうなんだ、と思って。

−ケーキ屋はあっさりやめちゃって(笑)。人生の線路が、小説家のレールへと。

そうですね。

−事前情報で頂いた中に、学生時代はめちゃくちゃバイトしていた、という話があって。それもその、ネタづくりというか。

そうですね。基本はファーストフード店で4年間働いていました。ファーストフード店で働きながら、他のアルバイトを常に掛け持ちで回していて。20個ぐらい掛け持ちでやっていました。

−20個。大人の社会見学しまくりで。全部ネタづくりみたいな。

その時、私、新宿NSビルのお店で働いていて。

−インヴァランスが、今のマインズタワーに移転する前に入っていたビルですね。

しかも、そのお店とその上の階の居酒屋でも働いていて。

−すごいですね。ビルの中で掛け持ちしてる。

ビルの中でアルバイトを掛け持ち。そんなことをやっていたので、ビルの情報がすごく入ってきたんです。そこで、オフィスビルのテナント料というのは結構かかるんだ、ということを知って。家賃って収入の3分の1っていうじゃないですか。ということは、テナント料も家賃と考えると、ある程度テナント料がかかるところに入っていたら、それだけ業績も良いのかなと思って、「いいビルに入っているか」を選ぶ基準にしていました。

−しかも今は移転して、マインズタワーに。より豪勢になった感じはありますよね。

広くなって嬉しいです。

−いいビルですよね。ここも。ビルで選ぶって見かたは新しいな。その選び方、初めて知った。

なかなか、いないでしょうね。

−で、なぜ不動産投資会社を志望したのか、という。

最初は大手の広告代理店に入りたくて。というのも、大きい広告会社に入って、そこで小説家になったら宣伝費かけなくても、すごい宣伝してくれそうっていう下心で入ろうと思ったんです。でも、色々しくじって途中で挫折をして。その時にあらためて就職活動を見直したときに、逆にベンチャー企業だったら、もしかしたら私のスポンサーになってくれるかもしれない、というまた違う下心が出てきて。もしその会社にいる間に私が名を上げたら、会社の宣伝になるし、会社にとっても私が存在しているメリットが生まれる可能性があるな、と。で、ベンチャー企業を色々見るようになりました。

−ベンチャーの中で職場探しをしていったと。でもその軸になっているものは、やはり小説。

そうです。

−小説家を目指してる、みたいなことは就活中は言わなかったんですか?

そうですね。当時、就職相談のカウンセリングを受けた時に、「小説家という夢は就職に不利だから隠しなさい」ということを、必ず言われていたんです。夢は夢で、仕事は仕事だと分けないと、企業側からしてみたら、小説家なんて目指してる人はすぐ辞めちゃうだろうって落とされてしまう、と。実際、他の会社では、最終面接まで行ったのに、「小説家が夢」って言ったら落とされた経験もあったんですけど。でも、インヴァランスは、社長が「夢があるっていうのはいいことだよね」って言ってくれて。「何も無いよりはあったほうがいいと思うし、うちの会社には、たとえば魚釣りがすごく好きな人がいるけど、その人も釣りが好きだからこそ、好きなことをするために仕事を頑張ってる。魚釣りと三上の夢を一緒にするのはどうかと思うけど、そういう夢はあったほうがいいと思う」と言ってくれたのが印象的でした。

−魚は夢というかレジャーだ。みたいなことはありますけど(笑)。

そう(笑)。そうなんですけど、そう言われて、内定通知が来て、やっぱりうれしかったです。で、家族や友人に、どこの会社に入るべきか相談した時に、このエピソードを話したら、その会社にしたら?と言われることが多かったので、それも決め手のひとつになりました。

−インヴァランスにだけは、小説家って言って、でも内定が出て「ここだ」みたいな。

「社長が認めてくれたから」って言えるのは強いかなと思って。

−正直、不動産という業種自体には、あんまり興味ない感じのまま入ってきました?

不動産投資を扱った小説って、世の中に出てはいるんですけど、まだヒットがない。みんながピンとくるものってまだないので、狙い目かなと思って。

−そこにも小説が出てくるんですね。そうか、忘れてました。「人生、小説のネタ」でしたね。で、今「恋する3センチヒール」という資産運用をテーマにした小説を自社メディアから発信されているわけで。もうどれぐらい書かれているんでしたっけ。

全部で40話あって。原稿はもう書き終わっています。週1配信なので、ゆっくりと世に出ている感じですね。

−そもそも自社メディアで小説を書くに至った経緯はどういう感じなんですか。

知り合いが、働く女性にインタビューして記事にするという企画をやり始めた頃で、面白い社会人を探していて、私がたまたま推薦されたんです。その記事を見たうちのマーケティング部門の課長が、私が小説家を目指してるってことを知って。で、なんか「お金の小説書いてみて」とエレベーターの中で言われたんです。冗談かなと思って、とりあえず「原稿用紙何枚分書くんですか」と聞いても「1枚ぐらいで」とか「不動産投資について書くんですか」と聞いたら「べつにそれも決まってないから自由でいいよ」みたいな感じで、適当なことしか言ってくれなくて、ポイッと投げられた感じで。完全に冗談だなと思って、こっちも冗談には冗談で返したほうがいいかなと、適当にパソコンで原稿用紙1枚ぐらいで書いたものが、「恋する3センチヒール」の第1話です。それを、お手紙みたいな形で二つ折りにして、「とりあえず書いてみました(笑)」みたいな感じで置いて帰ったら、次の日に営業本部長から突然呼び出されて。あんまり呼ばれることはないので、何かあったのかなと思って行ったら、「面白いじゃん。これでいくことにしたから続き書いて」と言われて、書くことになりました。

−その話だけ聞くと、えらいやわらか頭な会社だな、という感じがするんですけど。その第1話ってどこで書いたんですか。

会社で。10分ぐらいで。

−はやっ。そんな感じで。

タイトル考えるのが3分ぐらい。タイトルを考えた後は、結構すぐに書けました。

−ご家族とか友達に、小説の公開の話はしました?

最初は言ってなかったんです。みんな私が小説家を目指してるということは知ってても、私がどんな小説を書くのか、誰ひとり知らない状況でした。会社の人たちにも、もちろん見せたことはなかったんですけど。なのに、ただ記事を見て「小説書かないか」って言って、私に任せたのは本当にすごいなと思って。全然サンプルを見せてとも言われなくて、ただ1話目だけ出して、「じゃ、これで」みたいな感じで。今までは他人に自分の作品を見せると、その作品は世に出ないというジンクスが自分の中にあったので、人には見せてこなかったんです。

−ジンクスが破れて、人に見せたものが初めて結実した。あのー、ジンクスとか、結構、運命志向ですかね。

そうですね、確かに。

−運命志向をちゃんと受け入れてくれる器がこの会社にはあるのかな、という気がしますけど。「きみがそう思ったんならそうなんでしょう」とか「これでいいじゃん」みたいな話とか。しかもついに、人に見せても陽の目を見る小説が生まれたりもして。

小説家を目指したのは6歳なんですけど、小説家デビューはおばあちゃんになってからでもいいかな、ぐらいに、結構長い目で考えていたんです。けれど、これを書いたことによって、おばあちゃんになってからでもいいや、という考えがなくなりました。今、小説家を目指して18年目なので、20年経つまでには何か違う形で、賞をとったりしたいな、という気持ちが膨らんだというか。

−ちょっと人生が加速してきた感じがあるんですかね。

そうですね。

−人に見せても、ひとつの作品を書き上げることに結実した。ということは、今の運命的な流れはそっちのほうに行ってるんじゃないのかなって、今、お話聞いてて思ったんですけど。これからはガンガン見せていきましょう、みたいな流れ。

確かに。不動産会社に勤めて、まさか小説の話で取材されるとはまったく思っていなかったので(笑)。すごくびっくりしました。

−仕事と、小説書くって夢がすごい近い存在になっちゃったわけじゃないですか。たぶん入社した時って、離れたものとして考えていらしたんじゃないですか?

会社説明会の段階では、電話営業をする会社という説明を受けていて、1日に相当な件数の電話をするから、絶対誰でも嫌になるって言われたんです。

−会社側が率直にそう言ってたんですか。厳しいよと。

そう聞いていました。でも入社してすぐに、電話営業全面廃止になってリレーションマーケティングのスタイルになりました。ただ、私はそんなにたくさんの人と関わっていくというのが、全然だめで。だから最初は普通に営業として外に出ても、相手にしてもらえないんですよ。名刺。渡そうとしたら断られた経験があって。不動産投資会社の名刺交換はちょっと抵抗があるって言われてしまったんです。それもあって、ある時に名刺の私の名前を指して「私、この名前で小説家としてデビューしようと思っているので、もし私が小説家になった時に思い出して頂ければ嬉しいです」と言ったら、受け取ってもらえて。それで、何もない状態で動くよりも、自分の小説家の夢でもなんでも、相手が興味を持つことはさらけだしていかなきゃ人脈は広がらない、っていうことに気付いたんです。でも、そうは言っても大半が冷ややかな目なんですよね。最近はラノベとかも流行ってるから「どうせ最近のブームにのって、甘いこと考えて目指そうとしてるんでしょ」みたいな感じでみんな来るんですけど、小学校1年生の6歳から目指してるっていう話をすると、みんな姿勢が変わったりして。

−話を聞く姿勢が変わりますよね。

「本気なんだ!」みたいな感じで。「直木賞、芥川賞、本気で目指してる分類なんです」ということをしっかり話すと、みんな接し方とかも変わったり、色々応援してくださる方とか増えたりしたのはうれしかったです。

−仕事が開けていってますね。

営業という職種でも、小説家というのは結構武器になったな、と。小説家を目指す者として新境地を開拓したような気持ちになりました。

−なるほど。三上さんって、自分の生き方についてすごく真面目で、キーワードに小説というのがあって、そこにすごく真摯じゃないですか。小説だけはいつも忘れていない。普通、会社からは「仕事を真ん中に置いてくれ」みたいなことを言われそうなもんですけど、インヴァランスはそうじゃないですよね。

結構、社内でも本当に自由にさせて頂いていて。私は新入社員の時から同じ上司なんですけど、その上司の方が本当に自由に私がやりたいと言ったことに対して「やってみたら」みたいな感じで言ってくれて。小説家を目指してても、それが営業にちゃんとつながってるということを上司も理解してくれて、そのおかげで自由にさせて頂いてます。

−頭ごなしに言ってくる感じがないんですね。

そうですね。

−小説?ダメダメ!アウト!みたいな会社が、就活中にもいっぱいあったし、就活カウンセラーの人もそういうことを言ってたけど、そういうのが……。

そういうことは確かにないですね。

−いい場所、見つけましたね。

学生のときに、理想として思い描いた会社だと思っています。でもそんな会社ないだろうな、と思っていたんですけど、本当に一致していて。すごいところにたまたま巡り合った。

−この会社、何で知ったんでしたっけ。

就職サイトを見てて、ベンチャー企業をパーッと見てて、これ、NSビルだ!と思って。

−たまたまなんですよね。アルバイト先がNSビルで。

本当に偶然ですね。

−やはり運命ですかね。

運命でしかないと思います(笑)。

−すべては運命ですか。

怖いぐらいに色々。何か大きな力が働いているなということを、なんとなく、特に今の会社に入ってからすごく感じています。だからそれに従って生きる、という感覚です。

−いやあ、個性が炸裂してますね(笑)

自分的には、普通なのかなと思っていますが、不動産業界に入ったからこそ、ちょっと個性的な存在になった気がします。

−不動産業界というのもありますし、会社の外の人間として思うのは、会社員や組織の人間なのに「小説」という自分のアイデンティティをこんなに前に推し出すことができることが、まずすごい。それで、そういう話を採用のツールで推し出そうとする会社自体もまたすごい(笑)。要は個人の個性が組織の中でもちゃんと生きていけて、機能しているということなんですけど、それって、なかなかないと思うんです。だっていきなり「バスケの選手になりたいんで」みたいな学生が来て、急にバスケしだしたら嫌じゃないですか、営業会社なのに。「ぼく、背が高いんで」「いや、営業してよ」みたいな(笑)。

(笑)。同期の人たちからすると、すごく不思議だと思います。小説家目指してるって、同期にも最初に言ったんですけど、そしたら「すぐやめるでしょ」みたいな感じで、確かにその時は、自分でもそんなに続かないだろうなと思っていて。そしたら奇跡的に小説と仕事がつながりました。

−小説家を諦めなくてよかったですね。

小学生の頃から「作文の才能がある」「三上は将来小説家になる」と、ずっと小説家という夢を応援してくださる人たちが周りにいて。だから、いろんな人に将来、小説家になったら恩返しすると約束してきていることもあって、あきらめるわけにはいかないんです。

−ある意味で、6歳の時に夢で見たことが、当たってるのかなと思いました。小説家というものを掲げると、わりといろんなことが開けていってる感覚がすごくありますね。「小説家になりなさい」というのを夢の中で見て、それからことあるごとに「小説」というものが、三上さんの人生のポイントをことごとく打破してきた感じがあるんですよね。進学も、就職も、営業や仕事も。

そうですね。私から小説をはぎとったら、たぶん死んじゃうんだと思います、本当に。

−これって一応、採用ツールに載るお話としてお伺いしてるので、学生に何か伝えるとしたら、つながるはずのないものが全部つながっていくんだよ、と言えると思いました。「夢」や「やりたいこと」と「仕事」は共存してもいいし、共存できるものなんだよ、ということかなと。それを体現しているのが三上さんだと思うんですけど。「個性を持っていてもいいんだ」とか「なんでもつながるんだ」みたいな可能性ですね。体現していかれる中で、勇気であったり、可能性みたいなことを何か提示できる存在なのかな、という気がしました。

「点と点をつないでいく」っていう言葉が、すごく私の中でしっくりきていて。寄り道みたいなことが、全部本当につながっていくんだなって思っています。就職というものを手に入れるために、何かしらをあきらめる学生って結構多いと思うんです。そういう学生たちに、それをあきらめなくていいんだと思ってもらうというか、あきらめないで、むしろなりたいものを強さにして、どんどん前に進んでいったら、営業という職でもその先にいける。夢を追っててもいい、と。そういうことを姿勢で示せたのではないかと思います。

−素晴らしい。本当にそう思います。インヴァランスという会社が学生にとって何なのか、というところでいうと、「不動産投資の会社です」ということでもなく、「勢いのあるベンチャー企業です」ということでもなく、社員それぞれの生き方を許容してくれる場所だったり、自分の掲げているものをそのままやってていいんだ、というものを受け入れてくれる器というか。

ありがたいなと思います。私自身、小説家を目指してるっていうことだけで生きてる人間なので、ある意味で本当にクズだと思っていて(笑)。でも、クズだけど、会社のために自分ができることを一番に考えているし、会社のことを考えているからこそ、小説を武器として使えるということを考えたりしてきて、それが会社に認められているということは幸せなことだと思います。

−めちゃくちゃ頑張ってますよね。

クズはクズなりに一応頑張ってるみたいな。「頑張るクズ」とか言っちゃうとたぶん会社的には駄目っていわれるだろうなと思うんですけど(笑)。

−個性を認める会社なので「駄目」という概念はないんじゃないですかね。

そうか(笑)。なるほど。その通りですね!