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−インヴァランスの社風、会社の人格で、個性を尊重するよ、というお話が多いなと思っていて。どうですか、実際入社されて、社員のみなさんの個性大爆発だな、と感じる場面ってありますか。

そうですね。個性大爆発。なんだろう、私は多分とりたててそんなに個性であったり、私の強みはこれです、っていうものは特にないんですけど。ただ、これをやってみたいと思ったとか、これをぜひ私たちの力でやっていきたい、ということを1年目から言ったときに、それをどんどんやらせてくれる会社っていうのは、日々体感しています。

−そういう社風って、入社される前から感じていましたか。

雰囲気として察していた部分はありますね。就職活動中に何度か先輩社員との面談がありまして。ああ、こんな人もいるんだとか。学生時代の不動産業界の怖いおじさんのイメージとは裏腹な、楽しそうに和気あいあいとしている社員の姿を見て、面白そうだなという会社の雰囲気は感じていました。

−今、怖い不動産のおじさんのイメージっておっしゃったんですけど、そのイメージの不動産業界やその中のインヴァランスに入ろうかなとか、興味を持った動機というんですかね。その辺ってどういう感じなんでしょうか。

最初は私、もともと不動産業界は特に見ていなくて、でも営業職がいいかなと思ってはいました。合同説明会でインヴァランスに出会って。こういう会社があるんだ、面白そうだなと思って、説明会に参加して選考に進んでみて、会社のことを知るうちに好きになって。もともとは、女の子が誰もが一度は通る道だと思うんですけど、お菓子メーカーとか、そういうところにただ憧れてエントリーシートを出すような就職活動をしていました。でも、インヴァランスの社員と話す中で、自分がやりたいことって何だろう、どんな大人になりたいんだろうということを改めて考えさせられて、こういう会社で成長できたらいいなっていう思いが芽生えたのがきっかけですかね。

−どんな大人になりたいか、の部分。どういうふうに考えられましたか。

いろんな人と出会って、お話する中で、自分の提案力が試されて、自分のことが評価されて成長していけるような、そういう働き方にすごく憧れを持ちました。

−そういうことができそうなことって営業職だなとか、そっちのほうに傾いていくという。

そうですね、営業職。そして営業職の中でも自分の力で大きなものを動かすということに魅力を感じましたね。

−扱う商品とか、そういうものも含めて。

とか、お客様に与える影響力であったり。やっぱり法人営業よりも、個人営業にそういう意味では魅力を感じました。

−いわゆるBtoCなんですけど、そっちのほうで、かつ営業の色があるような仕事で。

お客様の資産形成に関わっていく仕事ですから、そういう生涯にわたって頼りにしてもらえるような存在になれたら、それってすごく格好いいなと思いました。仕事内容と自分が格好いいと思う大人の理想像が合致してというような感覚ですね。

−格好いい大人の理想像って、何となく例えば誰みたいな、とか、そういうのってありましたか。

あ。それは特になかったです。

−特になくて。

親がその手の仕事かと言われたらそういうわけでもない。誰かに憧れるというよりも……、私、哲学科の出身なんですよ。

−法政大学の哲学科。

そうです。哲学かどうかはわからないんですけど、論理的に考えていった結果、自分にとって、今、何をするのがベストなのかを、勝手に自分でうんうん考えるタイプで。

−自分の中で考える、哲学者タイプ。

良くも悪くもですね。

−鬱々と考えていく。

どっちかといえば、そっち寄りの人間だと思います。

−内省型というんですかね。自分の中でいろんなこと考えて処理して、答えを出して。時間がかかるタイプですか。

そうですね。次、何をするべきかとか。無駄をなくすために、すごく時間をかけて考えていますね。

−考えるほうが時間がかかってる、という。

そういう場合もあるかもしれない。手際はあまりよくないですね。

−それは、プライベートな面でも同じような感じで。

あまり要領がよくないので、ずっと仕事のことばかり考えています。休みの日とかプライベートとか言われても、あまり線引きはしていないです。

−プライベートより、仕事が好きという。

こういうインタビューで、何かプライベートで最近面白かった話とか聞かれると困っちゃうタイプなんですよね。特に何もないとも言えないから。

−しいて言えば何ですか。休みの日とか、どこに行きますか。

休日は、勉強だけしているというタイプの人間なんですよ。資格勉強がすごく好きで、だらだら勉強しているのがすごく好きなんですよ。休日は一日勉強できるのが嬉しいです。

−すごいですね。ちなみに、今、資格取得を何か目指していますか。

今はファイナンシャルプランナー1級ですね。2級までは取ったんですけど、次は1級を取りたいなと。

−それって、会社から取りなさいと言われているということですか。

ではないです。会社から取りなさい、と言われたのは宅建ぐらい。私は学生の時に宅建は取ってしまったので、その後、ファイナンシャルプランナー3級、2級とか、証券外務員2種、1種とか、年金アドバイザーの資格を取ってみたりとか、資産形成がらみの資格をガンガン攻めるのが趣味なんです。

−それは、入社してからですか。

入社してからですね。お客様のご相談を伺うようになってからです。入社1年目、2年目の社員が不動産投資のことを一生懸命説明したところで、私だったら任せられないなと思ったんですよね。投資をどうせ任せるんだったら、それに付随していろいろ金融商品だったり、社会保障だったり、税金とか、そういうことまで教えてくれる人のほうがいいだろうから、だったら自分自身が金融知識、経済とか保険とかも勉強して、ついでにアドバイスできたらいいなと思って。自分にとってもいい知識になる、というモチベーションで。友達と飲みに行くよりも、テキストを眺めているほうが、私は楽しいんです。すごく人付き合い悪いんです。いや、もうすっごく人付き合い悪いんです(笑)。

−(笑)。いわゆる営業職の一般的なイメージなんですけど、人当たりが良いとか、愛想良いとか、そういうのあるじゃないですか。でも、そこの面はあまりご自身で得意というか、別に武器はそこじゃない、という感じはあるんですか。いや、愛想ない、と思ってるわけじゃないんですよ。別に。

そこに関しては、そんなに困ったことは、特に今までなかったので。

−人当たりを突き詰めるタイプもいると思うんですけど、でも、どちらかというと北野さんは理論武装というか、その仕事にふさわしい知識を得たりとか、スキルとか、提案力みたいなところに……。

力を入れたいと思ってますね、私は。

−だから、飲みに行くより資格のテキストを眺めているほうが。

楽しくなっちゃう。

−なるほど。超人的ですね。

超人ではないです(笑)。ただの趣味です。みんなが家に帰って漫画を読むのが好きなように、私は家に帰ってテキストを見るのが好きなだけです。

−……。

伝わっていますかね(笑)。

−伝わっています。いや、ただただすごいなと。で、キャリアとしては、1年目の秋から不動産投資のセミナー担当になられていて、講師というお仕事も担当されていますが、そうなっていった経緯を教えてください。

インヴァランスでは、お客様向けのセミナーを定期的にやっているんです。私がセミナーのお客様の担当になった時に、運よく成約頂いたお客様がいて。そこで、北野はセミナーに向いているんじゃないか、と思ってもらったようで、人事異動のタイミングでセミナーを専門にやっていく班に配属になったんです。

−それはいつぐらいの話ですか。

1年目の秋、10月。そこからセミナー班としての動きがメインになりました。セミナーの準備、運営、接客、商談をやっていく中で、女性向けのセミナーをちゃんとやったほうがいいんじゃないか、やりましょうよと提案をして、女性セミナーが本格的に始まりました。

−やったほうがいいっていうことは、それまでは女性セミナーはなかったんですか。

女性セミナー自体は、一応存在はしていたものの、月1回開催するかしないかくらいのものだったので、もったいないなと思って、もっとちゃんとやりましょうよと言いました。

−自らおっしゃったんですか。

そうですね。セミナーに対して、はい!みんな1個ずつアイデアを出して!というタイミングが結構あるんですよ。会社の雰囲気として。そこで、女性セミナーをつくったらどうだとか、こういう層をターゲットに、こういう宣伝をしたらもっと人が来るんじゃないかとか、女性って絶対こういう不安があるだろうとか、不動産投資が合う人が絶対いると思うという考えを、私なりにまとめたものを提出して。そんなにやりたいんだったらやろうよ、というような感じになりました。1年目の年明けぐらいから女性セミナーの講師を任せてもらえるようになり、入社2年目からアシスタントチーフになり、今は、女性セミナーを開催することが私のメインの仕事です。

−盛況とお聞きしているんですが。

そうですね。最初はあまりお客様が来ない時もありました。来ても1人、2人で。でも女性セミナーをきっかけに成約頂けることも増えてきて、今は順調に安定的な会社の集客源になりつつあるので、ああよかった、安定してきたなと思っています。

−1回の開催での集客は、平均何名ぐらいなんですか。

どういう開催の仕方をするかで変わるんですけど、女性セミナーとは別で女性サロンというものも開催していて、10人、20人来ることもあれば、この前は、大きい会場でスペシャルセミナーをやって、その時は女性が70名参加してくれました。

−70名はすごい。盛況ですよね。セミナーとかサロンに呼んでくるのは、何かしら告知をされたりとか、どういう方向で集めてくるんですか。

マーケティングリサーチを行う部門が営業部の中にあって、不動産投資のセミナーのサイトに告知を掲載したり、新聞に広告を出したりしてくれるので、こういうことを載せたらいいんじゃないですか、とか、こういう無料プレゼントをつけたらお客様が来るんじゃないですかと、意見を出しています。

−集客部分からたずさわって。

そうです。言いたい放題言わせてもらっています。これやりましょう、あれやりましょう、と。

−言いたい放題、というお話ですけど、すごくスムーズに進むじゃないですか。そのコーナーやってみようという話とか、こういうところに打ち出したらいいんじゃないのと言ったら、そうかもね、とスルっと通ってしまう。これ、結構すごいことだなという感覚はありませんか?

いや、特にないですよ。最初からそんな感じですので。

−これが普通という感じですか。

やっぱり他の企業に入った友人の話を聞いていると、やりたいこととか、嫌なことがあるなら言えばいいじゃんっていうような話にはなりますね。

−そうですよね。でも多分、お友達の感覚からすると、言っても通らないよ、と。

そういうのはあるんでしょうね。そういう話を聞くと、自分は本当に好きなことをやりたいようにやらせてもらっているんだなって思うことはありますね。

−北野さんの哲学的に、やっぱり好きなことをやろうぜ、というのは、大きいのでしょうか。

私結構ビビりなんですよ、何だかんだ。「すごいね」とかよく言ってもらえますけど、全然すごくなくて、怖いから固めていってるんです、周りを。そんなに、やってみようって勢いだけで突き進めるタイプでは特にないんですよ。不動産投資を同期の中で一番最初に始めたのも私なんですけど、それも、ただただ老後が不安っていう。

−ん?ご自身で、もう投資をされていて、物件を持っていて。

そうです。持っています。

−それを一番最初に始められた。

同期では一番早かったですね。入社1年目のときに始めているので、不動産投資を。1年目の冬?年明けくらいに。

−では、もうセミナーの云々を始めたぐらいのときに。

そうですね。私にとっては、不動産の購入も女性セミナーを立ち上げたのも、自分の足場固めのひとつ、という感覚があります。

−なるほど。足場固め。

来年どうなるかわからない、半年後に何をしているかわからない中で仕事をしていくことが、私は怖かったので。

−会社によりかかるっていうのも、世の中何があるかわからないですしね。

だからこそ、自分の将来を考えたりとか、自分が仕事をしていく上での未来を考えた時に、今何を用意しておくのがいいのかを考えて。勉強をして、資格を持っておけばいいかなとか、不動産を持っておけばいいかなとか。そういうことばかり考えています。

−そういう哲学なんですね。ロジックというか。こうありたいなとか、このほうがいいな、じゃあこうしてああして、こうなってああなって、うーん、これはどうしたらいいんだ、ということを考えている。

そうですね。そういう意味ではあまり大きい会社じゃない分、前例があまりないので、苦戦して模索してるところは結構あります。誰に聞いてもわからないことが結構あるので、ちょっと自分でやってみながらとか、みんなと相談しながらやっていくことも多いですし、それはそれで面白いんですけど。でも、やりたいと思ったらやらせてくれるぐらいの規模感の会社が私はちょうどいいなと思っています。

−将来、安泰に暮らしていくって考えた時に、多分、多くの人の第一の選択肢って大手企業であると思うんですよ。でも、そこじゃなかったんですね。

就職活動の時に、すごく将来の不安を抱いていたことには間違いないんですよ。ただ、大手企業に入った時の自分と、こういうベンチャー企業の中で成長していく自分を比べて考えた時の安心感が、後者のほうが勝ったんです。

−個人としての力で安全を確保しているほうが、安全ではないかということですか。

そうです。誰かに頼ったりとか、会社に頼るほうが怖いという感覚でした。もし会社が倒産しようと、日本から追い出されようと、私はこれができるというものがあったほうが絶対安心だなと思って。大きい会社に入って最初の1年はずっと研修でした、2年目からやっとこれができるようになりましたっていう感じが私は怖かったんです。どんどん色々なことができるようになりたかったので。

−今、世の中の学生たちが大手、大手と言うんですよ。

そういうの、私も言ってましたもん。わかりますよ。

−そうなんです。だけどインヴァランスって、就活生にビンタを食らわせるような話というか、就活生に新しい価値観というか物差しみたいなものを突っ込んでいける会社かなと思っていて。特に今の北野さんのお話って、やっぱりそこじゃないですか。お菓子メーカーとかって最初おっしゃっていましたが、そうじゃなくって、今、突き進んでいるのは、会社というより個人を磨こうという道で。より磨かれるのはどっちだ?そういうところを突き詰めて考える哲学があると思うんです。すごく理にかなっていると思うんですよね、いまのお話は。素晴らしい。

いえ、とんでもないです。

−結構珍しいタイプかなと思ったんですけど、社内でも、同じようなタイプの人っていらっしゃるんですか。

いや、どうなんですかね。

−あんまりその辺は突っ込まない?

そうですね、私、先ほどお伝えしたとおり、あまり人付き合いがよくないので、あんまり同期とも遊びに行かないんですよね。

−会社の飲み会とかあるでしょう。

会社の飲み会、行きますけど、私、1軒目で帰っちゃうので。盛り上がってしっぽりする前にはもう退散してるんです(笑)。

−あれですかね、自分の哲学で生きているから、他人の思惑とか気にならないというか。

仕事がうまくいってる人の話はすごく聞きたいなって思いますけど、あくまでそれは業務時間中に質問をしてロープレをしてもらって、アドバイスを受ければいいと思っています。尊敬する上司とか、「すごいな!」と思うような同期はいますけど、あまり飲みには行かないです。

−そのあたり、ご自身で思うことはないですか。例えば、飲み会とか、そこをスパン!と切って、帰るわけですよね。でも、一方でこういう感じでいいのかしら?ということとか。

特にはないですね。いいと思っています。ちゃんと仕事をしているからいいでしょ?という感覚です。最近の子ですね。(笑)

−多分みんながこう、考えていたり悩んでいたりするラインがあると思うんです。北野さんも悶々と考えていらっしゃるんですけど、その悶々の内容が、皆のラインよりもうちょっと上のところというか、深いところというのか、どちらにしろ、人とは違う部分で考えているからあんまり気にならないのかな、という気はしましたけど。

私は、他のことに必死なだけです、多分。次の日のセミナーのことを、1秒でも早く考えていたいという想いがある。

−わが道って感じではありますね。

そうですね。それなりにわがままな歩き方をさせてもらっています。

−そういうお話を聞くと、この机の上に乗っている写真も、何かしっくりくるんですよね。

ちょっと、私あれ本当に嫌だったんですよ。みんなが仕事をしている中で注目されて恥ずかしかった(笑)。

−いやー。すみません(笑)。でも、絵になってるなあと。普通の人の考えの、ちょっと斜め上をいっているというか。

そんな感じなんですかね。他の社員とは確かに違うかもしれないですね、私のやり方は。

−そのやり方や発想というのは、いろいろ考えてきたからこそ出てきた答えですか。

最初は、従来の営業スタイルに苦手意識があって、セミナーをすることで私の話を聞きたい人が集まってきたら、絶対そっちのほうがいいじゃんっていう、完全に自己中心的な考え方だったんです。それが、1年経った時に後輩が入社してくるじゃないですか。いろんな後輩たちの働き方を見ている中で、やっぱりうまくいっている人もいれば、うまくいってない人もいて、そんな後輩たちの選択肢が増えるといいな、この女性セミナーをもっと大きくしていったら、誰もが私のつくったマニュアルどおりにやればある程度の成果を出せるような形づくりができたらすごくいいな、という感覚は、2年目になってからですね。

−でも、それは女性社員の方だけではなくて、やってらっしゃるセミナーの内容も実は世の中に対しても同じことじゃないですか。女の人に、自分で資産をつくって生きていきましょう、というのは。ちょっと通じるところってやっぱりあるんですかね。

確かに。そうですね。

−女性の生き方について、結構考えた経験とか、そういうことってあるんですか。

いっぱいありますよ。だって女性って、特に将来どうなるか本当にわからない要素って強いと思うんですよね。結婚したら、子どもができたら、もし離婚したら、親の介護が必要になったら、女性のほうが最初に介護を期待される、とか。そんな中でこういうお金がかかってくるとか、こういう可能性があり得るとか。じゃあ、将来結婚したときの年金がどうとか、相当調べましたね。老人ホームに入ろうと思ったらいくらでとか、今、待機児童がどれぐらいいて、とかも。

−それは、学生のときから……。

いや、学生の時は漠然とした不安だけだったんですけど、入社して、それこそ女性セミナーをやるようになってからですね。あと最近、女性向けの不動産投資の本を書いたんですよ。もう出版していて(※「目指せ自立女子!23歳からの不動産投資術」出版:幻冬舎ルネッサンス)。それを書くにあたって、改めて調べ直した部分もあるんです。やっぱり女性は、何かをやりたいとか、夢があったとしても、本当に慎重にならなきゃいけない場面もあるし、何かに踏み出す時にある程度の準備が大事で。一歩踏み出すきっかけになるものとして、例えばそれが不動産投資でもいいと思うんですけど、何か将来のことを考えて逆算しておくことって本当にすごく大事だなって、私自身がすごく思ったので。自分自身のキャリアを考える上でも、お客様にご提案する時でもいい材料にはなっていますね。

−そういった不安は、ご自身の体験とか実感値としてあるんですか。

私、学生時代に1回お金で失敗しているんですよね。そこからですね。親にもこれ以上迷惑かけたくないとか、自分がしっかりやっていくんだ!って、変な腹のくくり方をしたのが大学4年生の時ですかね。

−なるほど。そこで腹をくくったというか、変わったんですかね。

そうですね。感覚がだいぶ変わりましたね、そこから。

−それまでは割と。

夢見がちな、ただの女の子ですよ。

−普通の女の子。

飲み会とか、彼氏欲しいな、クリスマス出かけたいな、イルミネーション見に行きたいな、というような女の子だったのが、何のかわいげもない女になってしまったのは、そこからですかね(笑)。

−なるほど。大学4年生というのは、もう来年卒業で社会に出る前夜で、そんな経験が。

そうですね。就活中でした。なので、ただでさえ揺らいでいた時にそういう経験をしたのが、大きな会社に行くのをやめた理由のひとつです。大手とか、そういうのじゃないなぁって、改めて思って。

−その時、就活中で。

4月、5月ぐらいでもう就活は切り上げて、インヴァランスに入社しようと決めて、宅建の勉強を始めて、大学4年の夏は、海にも山にも行かずに、カフェで勉強をして宅建を取るという。そのへんですね、おかしくなっちゃったの。

−全ての合点がいきました。就活していた年が激動の年で。そこで劇的な会社に出会い、そういう事件もあり、宅建取っちゃおうっていうスイッチが入っちゃうし、生き方って何だ?とかも考えちゃうし。

そうですね。哲学科にいたので、もともと、変にこう、悶々として考えてしまう、というところはありましたけど。

−ちなみに、哲学科を選ばれたのはなぜですか。

私、人間関係とか、何かチャレンジして失敗することに対しての嫌悪感というか、何も失敗したくないという気持ちがすごく強かったんですよ。ただの負けず嫌いかなと思うんですけど。で、高校生の時に、世界史の授業で哲学というものを知って、何千年も前の人の思想が今でも考え方として認められて書物にも残っている。それだけ立派な人が生涯かけて残した言葉を読んでおいたら、人生の予習というか、失敗を経験して初めて学ぶことをそうやって先取りして、そういう考え方があるんだ、そういう視点でものを見ればいいんだっていう発想が身についたら、生きていく上ですごく強いんじゃないかって思ったんです、高校生の私は。

−すごいですね。

すごくはないんですよ。

−人生の予習って捉えるところが。

すごくはないんですけど、特に何かこれやりたいなというものもなかったんですよね。法律や経済を4年間勉強することに、特にピンときていなかったんです。それだったら何をするにしても役立ちそうなことを、自分の教養というか自分の土台、知識の土台となるようなスタンスづくりに大学4年間を使ったほうがいいんじゃないか、と思いました。

−北野さんのキーワード、ご自身を一言で表すとしたら「哲学」という感じですね。「哲学の女」という感じ。

でも私は、哲学って面白いなあ、という感じで、ぱぱっと吸収していっただけで。学問としてとか、この哲学者のこの哲学を研究した、というほどのめり込んでいたわけではないんです。

−他人の哲学ではなくて、ご自身の中で哲学的なものができている、と思います。お話を聞いていると。女の人の生き方みたいなところもそうだろうし、女の人が強く生きていくってどういうことだ?というような、そのあたりの考えが、セミナーの中でも取り入れられていそうな気がするんですけど、どうですか。

そうですね。そういう話が多いですね、やっぱり。女性だからこそ考えてほしいとか、女性だからこそっていう話は多いですね。

−セミナーで社会に打ち出す内容って、ある意味、企業の文脈に沿っていなきゃいけないとか、「企業のマニュアル」になっちゃうじゃないですか、普通は。

私のセミナーはそういう「企業のマニュアル」というものが無いですね。そういう意味では全部、私の文脈。

−もう北野さん自身のマニュアルというのか、自分の哲学を、会社の看板を借りてやっている、という。なるほどね。変に余計なものが混じっていないから、熱も込めやすい、そんな気がします。だからセミナーの内容、カリキュラムも、ご自身で考えられるんですよね。

そうです。

−カリキュラムというかプログラムとか、どれぐらい時間をかけて考えるんですか。

例えばお客様が70名いらっしゃるようなセミナーをやろうと思ったら、2カ月前ぐらいから動き出して、外部講師を招くのであればその方と打ち合わせをして、どういう内容にしようとか、どういうスケジュールにしようから始まって、じゃあ、私は第1部でこういうことが伝わるような内容のセミナーにしますって決まってから、いつも使っているセミナーの材料をもとに、ここをちょっと入れ替えようとか、今回は客層がこういう方だからこういう話も入れようとか、ちょっと株式の話も入れようとか。初心者の方が多ければ、マネーセミナーに似たような内容にして、不動産の紹介はもう最後の2スライドだけにしようとか、つくりかえの作業で。あとは練習してリハーサルをして。なので、最後の1カ月くらいは、結構バタバタです。

−毎回オリジナルに近かったりするんですかね。

そうですね。開催するたびに、このオペレーションよくなかったからとか、ちょっと次回は接客こういうふうにやってみようとか、最後にお土産をプレゼントするんだったら、その渡すタイミングはこうこうこうしてとか、引換券を出してみようとか、まだいろいろ試していますね。

−話す内容自体もちょっと変わっていっている。

変わりますね。

−それはやっぱり更新されていくんですか、考えていることは。

そうですね。担当する女性のお客様が増えれば増えるほど、感覚が変わっていきます。最初は、男性のお客様が多かったんですけど、女性セミナーのお客様が増えていく中で、女性セミナーという場に足を運ぶ人の感覚がわかり始めてきました。仕事が終わった後に、ぱーっと飲みに行く女性の感覚と、将来に備えてこういうセミナーに参加する女性の感覚って、また違うと思うんですよね。

−とても違うと思いますね。

そうなんですよ。そういう方々が根底に抱いてる不安とか、将来に向けて気になっていることは、そんなに大差ないと思うんですけど、それに向けてどういう準備をしていきたいのか考えている方が多いとか、こういう話をするとすごく響く、というのが、どんどんわかるようになってきたので、セミナーの最後の締め方を変えたりとか。

−大事ですもんね、締め方ってね。

そのセミナーをどういう出口にするのか、といったことは考えます。

−自由の女神ですね。女の人にとっての。フランス革命でしたか、ついてこい!みたいな絵画があるじゃないですか。あれの後ろが、全員女の人、という感じが。

(笑)だいぶ壮大な。

−多分、今後も女性社員が入社されるんでしょうけど、そういう感じで、こっちだよ、としている絵が浮かびます。

1人で突き進んでいくっていうよりも、誰かのためにそれをできるようになりたいとか、お客様とか、後輩のために、という想いは常にありますね。

−いや、素晴らしい。いいですね。

すみませんね。なんだかお利口さんな意見しか出てこなくて、申し訳ないです。

−いえ、違います。だいぶパンキッシュなこと仰ってますから大丈夫ですよ。

本当ですか。よかったです。