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−社長が起業を思い至ったのは何故でしょうか。インヴァランスの設立の経緯をお伺いしたいと思います。

もともと、若い頃から起業を考えていました。起業するための最初のステップとして、まずはどの会社に入社するべきか、という視点で考えて、最終的に決断したのが、この不動産投資業界でした。私は設計士やエンジニアのように技術がある訳ではなかったので、物を売れる人間になろう、営業力をつけようと考えました。それで、就職活動は営業職志望で数社受けて、何年か働いて力が付いたら起業しようと考えていました。
そして26歳で独立し、当社設立に至りました。どうせやるなら、自分の理想の会社をつくろうと思っていましたね。

−「理想の会社」について、それは具体的にどういった会社像だったのでしょうか。

起業した当時の理想と、今の理想は変わってきています。たとえば、その時代によって、お客様に喜んでいただける商品は変わりますし、社員や、会社の状態によって目指すものも変わると思います。ただ、起業当時は、社員やお客様とのつながり、絆が深い会社にしたいと考えていました。

−つながりを大切にする、その理由を教えてください。

営業職というのは、どうしても個人主義になってしまうものですし、個人の営業成績が報われることも必要だと思っています。でも一方で『社員が楽しんで働き、お客様にも喜んでいただける会社』、これは根本的に変わらない理想ですが、そのために組織はどうあるべきかを考えた結果、個人ではなく、チームで取り組む営業スタイルに行き着きました。もちろん営業職だけではなく、開発や管理部門を含む、全ての部門をチームとして強化していくことが大事です。たとえば、個人の集まりなので、全員が同じスキルを持っていることは絶対にありえないことです。でもチームであれば一人ではできないことも、協力してできる事が増える。チームであるほうが、効率よく色々な物事を進めていけるということです。また、仲間がいるということはメンタル的にも大きなパワーになります。仲間がいれば楽しいし、いいことも悪いことも共有すれば、仲間がサポートしてくれる。プラスの面が大きいと思います。

−チームとしてのつながりがもたらす効果は、他にもありますか。

個人のスキルも、チームで活動するほうが伸ばしやすいと思っています。チームの中で、仕事や役割を決められるという面がありますからね。当社の営業職でいうなら、最初はアポイントしか取れなかったとしても、商談・成約の場に上司が同行してお客様との交渉を見ることができるし、その際にポイントなども教えてくれる。また社内では上司と部下、先輩と後輩の間で商談のロールプレイングが頻繁に行われている。一人で全部やろうとすると、そうはいかない。ポイントごとに上司のアドバイスを受けられるので、成長スピードも早いし、成長すれば、当然結果も出る。結果が出なかったら、仕事ってつまらないですからね。やっぱり仕事は楽しむべきだと思います。

−社長ご自身も力を付けるために、この仕事を選ばれたということで、特に「成長」という観点ではこの仕事は有効ということなのでしょうか。

不動産というのは、個人が所有するものとしては高額な部類に入るものです。なので、不動産の営業ができれば、高い営業スキルを手に入れられる、と私も考えました。また、高額商品ということもあって、簡単には買えないものですし、人生設計に関わる商品なのでそれだけお客様も真剣です。その真剣さに見合うスキルや人間力、お客様に寄り添っていく心が必要です。そういう意味でも人として大きく成長できると思っています。

−インヴァランスの営業スタイルについて、「チーム」や「つながり」というキーワードが出てきましたが、総じて「リレーションマーケティング」というスタイルをとっておられます。ここに至った経緯を教えてください。

もともとは、電話をかけてお客様にアポイントをいただく電話営業を行っていました。現在でも相当数の企業がこのスタイルで営業活動を行っていると思います。ただ、電話がかかってくるお客様は様々な企業から営業電話がかかってくるので、お客様にもご迷惑がかかってしまう部分があったと思います。コンプライアンスの観点からも、電話営業から脱却したいという思いもあって、営業のスタイルを変えました。

−電話営業より、お客様とのリレーションでつながっていく方が営業の精度・確度も高いのでしょうか。

成約率は大幅にあがりましたし、電話営業に比べて新規顧客数、営業の一人当たり売上高も大幅に増えました。電話営業を行っていた頃は、毎日たくさんの電話をかけていましたが、お客様が電話に出て頂けるのは数人でした。電話をかけることが仕事の目的になってしまう日もあり、そうすると、営業スキルを身につけたり、営業力を発揮する場面すらなくなってしまいます。そういう経緯もあり、電話の比率を下げることから始めて、最終的には完全廃止にしました。

−商談や交渉という場面に近いところから入っていける経験を、より多く積んでいったほうがいい、ということですね。

リレーションマーケティングは、お客様との信頼構築を図ることが重要なので、お客様と会う機会、話す機会が多いと自然と営業力はついてくると思います。

−そうすると、インヴァランスで活躍できる人材について、理想的な人物像というのはありますか?

主体的に物事を考えることができる人でしょうか。チームによって異なりますが、当社は誰かに指示されて行う仕事というものがあまりないんです。業務中の仕事の進め方は、原則自由なんです。業務報告などの報連相はもちろん必要ですが、どこへ外出するとか、誰と同行するとか、特に仕事の進め方に制限はかけていません。仕事にタブーはない、という言い方をよくしています。どんどんチャレンジできる環境でもあるので、主体的に物事を考えて取り組める人が必然的に結果を残すようになりました。個人の裁量はとても大きいと思っています。

−世の中には、色々な性格や志向のタイプの人がいますが、裁量を与える社風の中だと、行動にもバラつきが出るという側面もあると思うのですが。

もちろんベースには会社方針に従って、仕事を進めるなど基礎の部分がないと組織としての仕事にはならないと思っています。その上で、仕事の向き合い方は色々あっていいと思っています。たとえば、トップセールスや高収入を目指すために仕事に没頭する人もいれば、トップセールスは望まずプライベートの時間を重視したい人もいると思います。それは、どちらも正解だと思います。全員がトップセールスになる必要はなくて、仕事も楽しく、プライベートも楽しければ、それは人生としては大正解でしょう。要は、その人にとって大事なことや楽しいことは何なのか、それは人それぞれで、仕事を楽しく受け入れることができれば自ずと結果はついてくるものだと考えています。

−「楽しい」というのが、大事なキーワードなのでしょうか。

働いていて楽しくなかったら辞めたほうがいいと私は思っています。ストイックに突き詰めていくスタイルが楽しい人もいるでしょうし、他とは違うところに楽しみを見出す人もいるでしょう。でも、バランスは人それぞれだと思いますが、仕事は自己実現のための最大の手段だと思っているので、それぞれのバランスで、仕事に向き合って成功できれば、一番素晴らしいことだと私は思います。

−あらゆるタイプの人がいて良い、という考え方ですが、人材の多様性について意識されていますか?

多様性はこれからの社会で非常に重要になってくると思います。日本には、国籍や人種の違う人がたくさんいるし、性別関係なく活躍の場も広がってきているので、画一的なものや普遍的なものなんてないと思います。

−時代の変化に応じて職場も変わっていくべきだ、という考え方ですね。

「変化こそ唯一の永遠である」という言葉があります。私はこの言葉が大好きで、永遠のものなど何一つなくて、変化することだけが、唯一永遠に続くという意味です。変化は受け入れるべきだし、変化するのであれば、より良く、どんどん変化していくべきだと私は考えています。営業スタイルも、会社のビジョンや組織も、時代が変わっていく中で変化していくべきだと思っています。

−性別関係なく活躍の場がある、というお話が出ましたが、業界的に男性が多いというイメージがあります。インヴァランスの場合は女性も多く活躍されているのでしょうか。

女性には女性の優れた部分があって、男性にも優れたところがありますよね。それを自由に発揮できる環境はあると思います。先ほども言ったように、仕事にタブーはないという考え方なので、自分に合ったやり方や、自分らしく仕事ができる環境をうまく使ってほしいですね。今、社員の男女比率は6:4くらいです。男性社会というイメージが強い業界の中で、私たちはほぼ半々の割合で共存することができています。今後も社員が活躍できる環境をつくっていきたいと考えているので、様々な働き方を提供して女性にはもっともっと活躍してもらいたいと思っています。

−変化や多様性についてもう一点、会社のこれからの変化、今後の展望についてお聞かせください。

今後は扱う商材や事業領域もどんどん広げていきたいと思っています。これまでのノウハウとニーズが合致するのであれば、色々なかたちがあっていいと思っています。たとえば、物件開発にしても、今、私たちが扱っているコンパクトタイプのワンルームマンションに固執せず、投資家にニーズのある新しいものをつくっていきたいと思っています。

−現在、インヴァランスの物件にはIoTを取り入れた物件があります。新しい取り組みだと思うのですが、こういったアイデアはどこからやってくるのでしょうか。

私自身、常に考えていますが、いいアイデアがあれば社員からもどんどん出してもらえるよう「アイデアコンテスト」を開催しています。IoTの話は、幹部合宿から生まれました。不動産にIoTを取り入れるということは、もう世の中の流れとして避けて通れないと考えていたので、絶対に外せない開発だと思っていました。これは日本の企業の中ではかなり早い段階で着手した開発でした。私たちは、現状維持を良しとしないんです。現状のままでも利益は出るし、お客様にも喜んでいただけているから、あえて新しいことにチャレンジしなくてもいい、という考え方はしません。どんどんイノベーションをおこしていきたいと思っているので、新しいことにチャレンジしていく。理由は明確で、そのほうが面白いから。やはりこれに尽きますね。